ソフトからハードへ

思索

ソフトからハードへ

実社会におけるソフトウェア空間上の技術が有用性の観点で飽和状態にある現在、次なるテクノロジーが目指すのは現行のAI、IoTブームに見られるように、物理的有用性寄りの技術だと思われます。

アーリー・アダプターを捉えて離さないバラ色の未来像を謳う、「シンギュラリティ(技術的特異点)」関連で有名なレイ・カーツワイル氏が提唱する3つの革命、G・N・R(G:ジェネティクス、N:ナノテクノロジー、R:ロボティクス)も、全て物質的な側面が不可欠の革命です。

有名な「ムーアの法則」に似た「収穫加速の法則」を適合し、その時代遷移の速度は待ったなしだと煽られます(笑)。

ソフトウェアからハードウェアへの移行に架かる断絶を乗り越えるコストメリットがどう技術で実現できるかが恐らく課題です。

ソフトウェア面であれば、もはやオープンソースは大前提であり、事実上無料で多様なサービスが利用可能な状態。

オープンソースを選択するメリットの方が、一社最適のスクラッチ(フルオーダー、カスタマイズ)技術を上回ると思います。

ググれば基本解決する現代、いかに多くの人が利用しており最新情報がネットに転がっているかが重要になります。

そもそも、何を実現するか

基礎研究レベルのアカデミズムの世界でない限り、民間に出回るソフト面での中間技術、最終消費者やユーザーには見えない裏側の技術は、それ自体の価値がどんどん薄くなっていると感じます。

これは、それらの中間の技術やノウハウはブラックボックスとして理解を求めず、APIの如くどう連携するか、組み合わせるかの方がはるかに重要だということを意味します。

つまり、「何を実現するか」という上位レイヤーの企画面が最重要だということです。
問題が与えられれば解決に動ける人は数多いですが、ここはとても難しい領域です。

この点は、企画会社が多重の下請企業を抱えてわたりあう多くの大手企業と同じです。
世の中への価値提供のフロント、最前線の顔として自社のレッテルを張る。

「この商品の製造は別のところだったのか」というプライベートブランド構造はどんな業界にも存在し、これは今に始まったことではありません。

分業によるメリットは大きく、経営バランス的にはそれが効率よく「最適解」です。

特に株主から数年でリターン(成果)が求められる日本式上場企業ではそれが顕著です。

もちろん、Appleが製造を下請けに委譲し数十年来のコア・コンピタンスなる「デザイン」に注力する現状が、Dellの二の舞いにならないとも限らないので、長期的な経営戦略上最適であるかどうかは不明ですが。

「イノベーションのジレンマ」がブームになっていた(いる)のも、効率性や論理的最適解を求めた結果の袋小路に尽きると思います。

プロダクトを産む、製造するノウハウや技術を軽視し、ブラックボックスを許容しすぎてしまうと、看板(ブランド)以外の独自性が見いだせない状況が訪れるはずです。

ブランドで飯を食えるのは成熟期の一過性の時期であって、いつかは崩れると思います。

生産現場からの価値創造

立脚するのは現場のリアルな製造現場や人間であって、生産技術の集積がプロダクトである以上、その価値が相対的に浮上する未来がくるのではないでしょうか。

具体的には、従来ではフロントに立てなかった生産者が、SNS等無料のITツールで発信が可能となっている現在がそれを証明しています。

オープンソースを使い倒してソフト面をリカバリし、これからどれだけ物質的側面の価値に光を当てられるかだと思います。