作品としての日本酒
日本酒は、芸術同様、一種の作品である。 設計と変数が多種多様、簡単なコピペ製品化が不可能な、一点物である。 ロラン・バルトの「作者の死」という言葉がある。 これは、文学作品のテクスト論に通ずる考え方である。 ”作者は、作品を書くたびに死ぬ” ”作品において、作者は神ではない” という言葉が示すように、 [...]
日本酒は、芸術同様、一種の作品である。 設計と変数が多種多様、簡単なコピペ製品化が不可能な、一点物である。 ロラン・バルトの「作者の死」という言葉がある。 これは、文学作品のテクスト論に通ずる考え方である。 ”作者は、作品を書くたびに死ぬ” ”作品において、作者は神ではない” という言葉が示すように、 [...]
現代は、不確実性の時代である。 別名、VUCA時代。 ※Volatility(激動)Uncertainty(不確実性)Complexity(複雑性)Ambiguity(不透明性)の頭文字連結 たとえば、書店に足を運べば「不確実性」や「非合理」の文字が躍り、想定可能で前途洋々なる未来図とは真逆の、閉塞感 [...]
言語は、無理数の表記に同じである。 π=3.1415926535897932384626433… 要するに、記載不能。 ともすれば、通常、言葉で世界を表現できると思いがちである。 しかし、同じ「痛い」や「赤い」という言葉が示す者が人によって異なるように、 人間は言葉という抽象表現・記号を使って意思伝達 [...]
最近、ようやく寒くなってきて長袖も出してきた今日この頃。 言葉もサムいと感ずることが増えてきた。(笑) たとえば、「マーケティング」という言葉。 この言葉に対して、ホットな印象を持つ人はどれだけいるのだろうか? 言葉それ自体が悪いわけではなく、外的要因の変化だろう。 最近、ふとそのように感ずることが多 [...]
哲学者ジル・ドゥルーズは、現代哲学を代表する思想家である。 『アンチ・オイディプス』を初めて読んだ時、「器官なき身体」という表現が全く何を言わんとしているかが不明であった。 著書で索かれるアルトーの詩、 皮膚の下の体は過熱した工場である そして外では病者が輝いている 彼はきらめくあらゆる毛穴を炸裂させ [...]
この時期になると、酒造業界では蔵のメンテナンスが行われる。 酒造期は寒造りが一般的で、10月から4月頃までの約半年間が日本酒造りの時期である。 温度が冷えない夏の暑い時期は専ら蔵の設備をメンテナンスしたり、新たな設備導入、掃除などが行われる。 酒造は、「所与条件をいかに活かすか」の創意工夫が問われるも [...]
「伝統の味はどんなものですか?」 たまに聞かれるこの質問。 これは、あらゆる老舗企業に通ずる話である。 たとえば食品や飲料を扱うならば「伝統の味を守っています」というフレーズはよく目にする。 そもそも、味を守るとは何か。 それは、伝統の継承と本質は同じである。 継承するのは、目に見える単なる現物だけで [...]
昨日、「新世代栃木の酒 下野杜氏 新酒発表2018」が開催された。 栃木県酒造組合で、毎年弊社「西堀酒造」も参加している。 第二部、日本酒セミナーにて、日本酒ライターの山内聖子氏が、面白い問題提起をしていた。 普遍的なれど、老舗酒蔵は必ず再考するであろう問題である。 それは、「地酒」とは何か?という問 [...]
酒造りは、「解不定」である。 プログラミング可能なもの、たとえばソフトウェア等の論理的な世界では、仕様の設計をすれば解が確定する。 仕様を満たすか否かはゼロイチの世界であり、ファジーな領域は容認されない。 そこには二値(0か1か)の極めて明快な結果が現れる。 バグが見つかれば、なぜバグが出ているのか、 [...]
20世紀は、画一化、普遍化の時代であった。 より広く、より多く。 標準化し、画一化し、効率化すること。 いかに経済性と効率性を重視するかの時代であった。 要は、「グローバリズム」の時代であった。 しかしながら、昨今の世界情勢に見られる通り、その国・地域であることの必然性、己自身の存在事由、アイデンティ [...]